桜の咲くころ
ジューッ。

お肉の焼けるいい匂い。

結局、料理特訓は延期され、手際よくシンがご飯を作っている。

ガーリックの香りが、ない食欲を刺激した。

「お待たせしましたー」

「うわー美味しそう!!」

大皿のない我が家だから、フライパンのまま運ばれてきたメイン料理。

野菜やキノコがお肉と一緒にパスタに絡まってる。

首を傾げたボトルの中身は白ワインだった。

グラスの中で薄く黄みがかったそれに、間接照明のオレンジの光が色を止めて、すごく綺麗。

「いただきまーす」

乾杯よりも先に、パスタを口に運ぶ。

「ん!美味しい!!」

「当たり前じゃん、俺が作ったんだもん」

そう言いながらも、満足そうな表情で笑っている。

「最初に店に来たときも、旨そうに食ってたよな」

「あれもシンが作ったの?」

「いや、アレはオーナー」

そうなんだ、とテンポ良く運ぶ手が止まらない。

ワインもピリっと辛味が効いて、美味しいし。

口の中がスッキリする感じで、飲みやすかった。

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