桜の咲くころ
・・・情けない。

明かりを消して入ったからいけなかったのかな。

酔った頭に、バスルームのライトは眩しすぎたから。

ジンジンと痛みが響く場所を冷やそうと、シャワーの水温を一気に下げた。

「キャーっ!!」

そりゃそうだ。

頭の上から水が降って来たんだから。

頭の中で、あたしの分身がケラケラと笑う。

あーもう、絶対ワインは飲まない。

滝のように振ってくる冷たい水を止める蛇口が探し出せず、ただ手を上にかざして避ける事しか出来ずにいた。

「どうしたっ?」

焦った声と同時に開かれた扉。

すぐに状況を理解したのか、肌に当たる冷たい感覚が止まった。

「酔っ払って水なんて被ったら死ぬぞ!!」

強い口調であたしを叱る。

そして背中から強い力であたしを抱きしめた。

「こんなに冷たくなって・・・アホか、お前は・・・」

「おでこ・・・ぶつけて冷やそうとして」

「・・・やっぱりアホだな」

ムカっ・・・。

助けてもらったのに、やっぱり腹が立つ。

「シン・・・あたし裸なんだけど」

「・・・うん、知ってる」

「・・・恥ずかしいから離れて」

「・・・断る」

「いや、体拭きたいし」

「・・・断る」

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