桜の咲くころ
冷えた肌に伝わるシンの温もり。

「酔ってんの?」

「・・・酔ってるよ」

「寒いから・・・タオル取って」

首筋にかかる、温かい息。

心臓が、騒がしく打ち始める。

「お願いだから、ね?」

「・・・無理」

そう言って、首筋に付けられた唇。

それは、すごく熱を持っていて熱かった。

「ちょ、ちょっと!!」

激しく打ち始めた鼓動。

シンの唇が、甘噛みしながら首筋を移動する。

「――ッ、待って、待ってって」

「・・・無理」

突然の展開に、焦って体を捻って逃れようとするんだけど、シンの強い力でガッチリ掴まれて身動きが出来ない。

その間も、シンの唇は動きを止めず、あたしの輪郭をなぞるように動く。

そして、ふとその動きが止まったと思ったら、あたしはタオルに包まれて、そのまま軽がると持ち上げられた。

「ちょっと、あたしは荷物じゃないよ!!」

ジタバタと足を動かして抵抗する。

バサリと下ろされたベットの上で、あたしはなおも抵抗を続けた。

「が、我慢大会はどうなったの!?」

< 115 / 206 >

この作品をシェア

pagetop