桜の咲くころ
もし、この再会が奇跡だというのなら、あたしは一生分のツキをかき集めたんだと思う。


この広い世界の中で、ちっぽけなあたし達を見つけ出すために。


知らず知らずの内に、沢山の人を傷つけて


そして自分もその愚かさに涙した。


ただ、愛する人が傍にいる事が


こんなにも温かく、そして繊細なんだと知った。


あたし達を包む、もろいガラスが壊れてしまわないように


――大切に、その厚みを二人で重ねられたら・・・






「あ・・・ッ」

塞がれた唇と同時に、あたしとシンは一つに繋がった。

「俺、すっげー好きだから・・・」

ゆっくりとスピードを増していく動きに、置いて行かれないようにしがみ付く。

「あ、あたしも・・・すごく好き・・・」

突き上げるような快感を身体全体で感じながら、乱れた呼吸と共に思いをぶつける。


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