桜の咲くころ
「最近さ、腹、痛いんだよね」
「何?拾い食いでもしたんじゃないの?」
「いや、しねーだろ」
「・・・大丈夫なの?」
少し、いつもの横顔より痩せて見える気がした。
それを、気のせいだと思ったのは、まだ何の知識もない子供だったからか。
「病院、行った?」
「行くわけないじゃん。下痢でもないのに」
「ふーん、コーラの飲みすぎかもよ」
「炭酸爆弾?」
「そ、炭酸爆弾」
「怖ぇー!!腹、破裂すんじゃん!!」
「うわー気持ち悪っ」
男の子の部屋で、二人っきりで。
ただバカ話して笑って。
親が心配するような雰囲気には全然ならなくて。
友達のエッチな話に持っていくようなネタにも何もならない状況だけど、それでも二人でいるこの時間が幸せだった。