桜の咲くころ

シンに会う事だけを支えに生きてきた。

必死で勉強して医者になって。

どんなに動悸が不純でもいい。

シンに・・・会えるのなら。

一生分のツキをかき集めて、シンに再会して。

――会えたあたしは・・・。

願いが叶ったあたしは・・・これから何を支えに生きればいい?

シンとの生活?

シンとの未来?

未来?

こんなにも汚れて生きてきたあたしに、それを望む資格はある?

結婚して。

子供が生まれて。

一緒に3人で公園なんか行ったりして。

でも――。

その望んだ未来が手に入らなくなったとしたら・・・。

あたしは生きていけるのだろうか。

目の前からシンがいなくなった喪失感に、あたしは再び耐える事が出来るのだろうか。

そんな事を考えたら、不安がどんどん大きくなって、あたしを飲み込んでしまいそうになる。
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