桜の咲くころ
何で、あたし達は離れ離れにならなきゃいけなかったのかな。

あの時、意地になってでも、電車を乗り継いで会いに行ってれば良かった。

でも――それをしなかったのは、やっぱりあたしが現実から逃げていたんだと思います。

最悪の状況を考えたら、怖くて足が動かなかったよ。

退院してからも、時間が経ち過ぎて、家にいけなかった。

心のどこかで、シンからの連絡を待ってたのかも知れない。

退院したよ、メシ食いに行くぞって。

でも、そんなのはあたしのワガママでした。



逃げてばかりで、時間が経てば経つほどにあたしは汚れていきました。

だからね、怖くて、本当に怖くて仕方ない。

サトルの仕返しよりも、あたしの醜さを知ってシンがいなくなる事の方が怖いんだ。

自分勝手かも知れないけど、バカな頭で一生懸命考えました。

サトルから、守ってくれてありがとう。

もう、あたしは大丈夫だよ。

あたしは・・・もうシンとは会いません。

一緒にいると、ダメになるから・・・。

抱きしめてくれてありがとう。

キスしてくれてありがとう。

一緒に眠ってくれてありがとう。

あたしは、それだけで充分だよ。

シンの温もりを知ってるから。

もう一人でも大丈夫。

・・・しばらく病院に泊まります。

もう、部屋には来ないでね・・・

        ミカコ




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