桜の咲くころ
初めて会ったときに思ったんだ。

あたしよりも、モモカの方がシンに何十倍も似合ってるって。

だから、やっぱり、そうなるのが自然でいいんじゃないのかな。

「・・・お似合いですよ。あたしの事なんか、忘れちゃってください。もう会うつもり、ないですから」

あたしは、出来る限りの笑顔を作って、それがばれない様に手に持ったままの煙草に火を点ける。

「シン、何も話してなかったんですか?」

始めてみる、モモカの呆れた表情。

大きな背もたれに体重をあずける様にもたれ掛かると、大袈裟に溜め息を付いた。

「ミカコさん、誤解してますよぉ」

「付き合ってないって事?知ってるよ?」

「付き合う、付き合わない以前に、有り得ません!」

「・・・・・・?」

キョトンと首を傾げるあたし。

ホントに話してないなんて、間抜けだなぁと独り言のようにモモカが小さく呟く。

「私とシン君は、姉・弟の関係ですよ」

姉?

弟?

いや、年からいったら逆でしょう?

「私、シン君のお兄ちゃんのお嫁さんですから」

は・・・?

「はぁぁぁぁあ!?」


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