桜の咲くころ
流れ落ちる涙はとても温かかった。

悲しくて、淋しくて流した涙とは違う、温かさに包まれた涙がスカートに大きな染みを作っていく。

それは、カラカラの心を潤すように広がって、スーッと染み込んでいく。

「何で、泣くんだよ!!」

焦ってオロオロしてるシンを見て、そこにシンがいてくれる事が嬉しくて、また涙が溢れた。

あたし達は、ずっと一緒にいてもいいんだよね?

こんなに長い間、お互いを思いあってきたんだから。

もう、離れる事なんてしなくていいんだよね?

涙でグチャグチャになったあたしに、シンが慌ててタオルを差し出す。

あたしは、その手を強く引いてシンを抱きしめた。




好きな人と――

愛する人と一緒にいたい――



もう、あたしは願ってもいいですか?


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