桜の咲くころ
「先生、遅いですよ!!!」
1階、正面玄関の脇にある受付の待合室。
同じ方向を向いて行儀良く並んだイスに座って、既にメンバーの大半が集まっていた。
その輪に、あたしも慌てて駆け寄る。
「ごめんなさい、前田先生を振り切るのが大変で」
そんな冗談を言って、大袈裟に疲れた表情を作って見せた。
ざっと見渡してみると、外科の男性ドクターが2人。
若い研修医と30代半ばの遊びなれた感じのドクター。
その周りに取り巻くように、20代の若い女性看護師が3名。
その横にはナナちゃん。
「ミカコ先生、忙しいのにスミマセンでした」
と、外科の看護師達が頭を下げる。
「あ、いいんです。私こそ、邪魔じゃないですかね?」
手の平をブンブン胸の前で振りながら愛想笑い。
「とんでもないです!!先生と一緒に食事行けるなんて、私達も嬉しいですから」
そう言って笑う彼女達は、本当に喜んでくれてるように見えた。