桜の咲くころ
「何度か、お目にかかってますが、僕も一緒に食事できるなんて嬉しいんですよ」

あたし達の会話に、遊び人医師(っても偏見だけど)が口を挟む。

「ホント、榎田先生は大ファンですからねー。今日はあたし達が、ミカコ先生をガードしますから、残念でした!」

ふんっ!と鼻をならして、看護師の一人が笑う。

仲が良い、そんな雰囲気。

「大丈夫、みんな酔わして、僕はミカコ先生と二人で飲みなおしに行きますから。ね、センセ」

冗談なのか本気なのか。

爽やかに笑いながら、サラッと軽快に言葉が出てくる。

「ミカコ先生は、お酒飲みませんから!飲みなおしなら、私が付き合いますよ」

胸の前で腕を組んで、ナナちゃんがピシャっと言い放った。

笑いに包まれた輪。

久々の、人との交わり。

気分転換には、最高のメンバーだなーって思ったりして。

「これで全員?」

笑いを落ち着かせ、ナナちゃんに尋ねる。

「あ、そうなんですよ。もう一人の先生は、受け持ちの患者さんが気になるからって、今日は涙ながらに諦めてました」

「ほんと、マジで泣きそうな顔してましたよね」

「たぶん、今頃マジでないてるかも知れないよねー」

口々に飛び出す看護師のジョーク。

「じゃ、次回は是非ご一緒に」

場を落ち着かせる為に言った一言に、外野が「甘やかしたらダメですよー!!」と野次を飛ばす。

もう、騒がしいんだか何だか分からなくなって、笑いが止まらなかった。



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