桜の咲くころ

尖りし気持ち

「愛し方が決まったよ・・・・・・」

あたしの目の前で立ち止まって口を開く。

緊張で、あたしは声が出ない。

「すごく悩んで苦しんで、やっと答えがでた」

「・・・・・・そ、そう」

「キミは、楽しそうに男性と食事に行くところ?」

ぼんやりと、独り言のように口から流れ出る言葉。

「・・・みんなで食事に行くところよ」

交わされた会話に、周りは驚いた。

知り合いなんですか?

という視線。

知り合い。

そう、何度も体を重ねてきた男。

あたしたちは、自己満足の為に体を重ねて――そして別れた。

体を重ねても、心までは動かなかった。

それが、悲しいけれども現実。

あたしの言葉に、サトルは「そう」と短く言って俯いた。

「じゃ、行くから」

愛し方が決まったのなら、安心じゃない。

彼が、やつれてしまっても、もうあたしには何の関係もない。

きっと、奥さんの元に帰る事に決めたんだ。

それを言う為に・・・勢いをなくした体を押して言いに来た。

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