桜の咲くころ
背中に、焼け付くような痛みがあった。
熱く熱した何かを押し付けられてるような、そんな感覚。
前を歩く看護師たちが振り返る。
不思議そうに彼女達を眺めていると、途端に悲鳴が上がった。
「ミカコ先生っ!!!」
恐怖に歪んだ顔。
どうしたの?
背中の熱い何かが体から離れ、あたしは自分の足元を見る。
ポタポタと、セーターから滴るように落ちた赤い滴。
それは、どんどん広がって、あたしは赤い水溜りにヒールで立っている。
そして、力が抜け、あたしはその赤い水溜りに膝を付く様にして前に倒れた――。