桜の咲くころ
第7章
追憶
「手術が終わって退院したら、一緒にメシ食いに行こうや」
「うん、いいよ」
「ミカコ、何がいい?」
「あたし、ラーメンがいい」
「ラーメン・・・いいよ、行こう」
「約束ね」
「うん、絶対」
・・・・・・果たされなかった約束が
消えかけた意識の中で語りかける。
・・・・・・もう、忘れてしまったかな。
・・・・・・忘れていた方がいい。
・・・・・・叶わない約束なんて、記憶の底に消しちゃって、ね、シン。