桜の咲くころ
第7章

追憶





「手術が終わって退院したら、一緒にメシ食いに行こうや」



「うん、いいよ」



「ミカコ、何がいい?」



「あたし、ラーメンがいい」



「ラーメン・・・いいよ、行こう」



「約束ね」



「うん、絶対」



・・・・・・果たされなかった約束が


消えかけた意識の中で語りかける。


・・・・・・もう、忘れてしまったかな。


・・・・・・忘れていた方がいい。


・・・・・・叶わない約束なんて、記憶の底に消しちゃって、ね、シン。


< 189 / 206 >

この作品をシェア

pagetop