桜の咲くころ

シン。

あたしは、あなたに会えて、本当に幸せだったよ。

人を、心から愛する事を知った。

そして、心から愛される事を知る事が出来た。


15年。

あたしたちは離れ離れだったけど、あたし達を繋いでいた絆は、すごく丈夫だったね。

決して目には見えなかったけど

あたしとシンを繋ぐモノは、親子よりも深くて濃くて。

見失いかけたけど、見つけることが出来た。

奇跡だと思ったよ。


でも、あたし達は一緒に時を過ごす事を許されなかった。

あたしは、一生分のツキを使ってしまったから。

もう、奇跡は起きそうにありません――。
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