桜の咲くころ
真っ白な壁に囲まれた四角い部屋。

雪のように真っ白なシーツに横たわった細い体に伸びる沢山のコード。

心臓の鼓動を捕らえる波形の音と、呼吸器の音だけが虚しく響く。

何で、お前はいつも勝手なんだよ。

俺が、何も言わないで転院した事を恨んでるのか?

飛び降りそうな素振りをしてみたり

置手紙を残して一方的に出て行ってくれって頼んだり。

俺を一人にするのが

そんなに好きなのか――?

なぁ――

返事しろよ。

俺を、一人にしないでくれよ――
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