桜の咲くころ
そして、視線を戻したら――


真っ赤なカーペットでもあるのかと思った。

その上に、静かに横たわるミカコがいて。

何か、ドラマか何かの映像を見てるようだった。

目に飛び込んでくる映像が、スローモーションみたいにゆっくり流れて。

でも、俺の背後で止まったパトカーのサイレンで

【現実なんだ】

と認識した。

それからの事は、取り乱してしまって覚えてない。

気付いたら、この太った医師が俺の前に立っていて、俺の血液型を尋ねていた。

『血が、血が足りないんだ』

そう言って、俺の腕を引っ張る。

『備蓄してる分じゃ足りない。君の血をもらうよ、彼女を助ける為に――』

放心状態の俺の腕から、赤い液体が透明のパックに流れていく。

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