桜の咲くころ
刺されたのが病院だった事と、腕のいい外科医がその場に居た事は僅かでもラッキーだったと思う。
すぐ手術室に運ばれて、処置が行われて。
俺の血もバンバン使って『とりあえず、命は取り留めました』と血がついた術着の男が俺に言った。
とりあえずって何?
とりあえずって何だよ。
意味、わかんねーし。
あれから――
季節が変わろうとしてるのに
ミカコは一度も目を開けない。
自分の意思を持って、そうしてるかのように・・・最近は感じられる。
いつも自分を責めてばっかりで。
大丈夫って強がって、全部この細い体に背負い込んで・・・。
俺に会いたかったんなら、いいじゃないか。
それまでの事なんて、どうだっていいよ。
俺だって、彼女の一人や二人いたんだぞ?
だからって、それはお互い責めるべき事じゃないだろう?