桜の咲くころ
安っぽいドラマみたいに、手を握ってれば目を覚ましてくれる気がした。
俺達が離れ離れになってしまった桜の季節だから、余計に焦ってしまう。
「なぁ・・・ラーメン行くって約束したじゃんよ・・・」
痩せた、白い肌にそっと手を当てる。
「暑くなったら、ラーメンなんて食いたくねーし・・・」
動かないまつ毛に、そっと指でなぞる。
「このまま仕事行けなかったら、食いに行く金もなくなるし・・・」
長くなった前髪を、指先ではらう。
「絶対って・・・約束したじゃん・・・たまには約束守れよ・・・なぁ、聞いてんのか?」
一筋の涙が・・・・・・
ミカコの頬に落ちる・・・・・・
それは、ゆっくりと白い肌を伝い、枕にこぼれる。