桜の咲くころ
アタシはボーッとする頭で、サトルの背中を見つめる。

ベットの中で、何度も愛してるって言ってたけど、アタシの気持ちは聞かないの?

サトルは優しい。

いや、無関心なのかな。

他の男たちのように「今日の予定は?」「仕事、何時に終わる?」なんてプライベートについて何も聞いてこない。

時間が会えば一緒に食事に行って、一緒に眠りにつく。

俺の女―と回りに紹介することもなく、本当に一緒にいて楽なオトコだ。

「今日、夜どうするー?」

「ミカコ、休みなんだろ?メシ食いに行くか?」

メシ…クイニイコウカ

耳の奥で、アイツの声が重なって聞こえた。

「ん…そだね。いや、作るよ、久しぶりに」

「あ、そ。じゃ、ハンバーグにして」

「オッケー」

「じゃ、また夜に」

静かにドアが閉まる音。

アタシは、まだベットの上で裸のままだった。



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