桜の咲くころ
「15年前に、病気が理由で疎遠になった人と最近再会したんです。でも・・・その隣に私の居場所はありませんでした。隣にいたいと願ったはずなのに・・・その願いは叶いそうにありません。だから――せめて、このカップ達だけでも、ずっと一緒にいさせたいんです。この二つ並んだ姿を眺めてたいんです――」
呟くように・・・自分に言い聞かせるようにポツリポツリと言葉を紡ぐ。
ウソはなかった。
初対面の雑貨屋の人間に聞かせるような話じゃないのに、なぜか言葉が止まらなかった。
あたしの言葉を、彼女は頷きながら静かに聞いていてくれた。
「いつか、あなたの願いが叶うように心を込めて・・・差し上げます」
「え?」
「お代はいりません」
「いえ、そんな訳には!!」
慌てて財布を探るあたしの手を、彼女はそっと制した。
「この子達をお金に買えるほうがバチが当たりそうな気がしてきました」
目じりの笑いジワを更にクシュッと縮ませて微笑む。
「離れ離れになっても、こうやって元に戻る事が出来た。それをアナタは大切にしてくれるのでしょう?自分と重ねるなら、いつか、アナタにも同じ時が来ますよ」
あたしは、彼女の目を見つめ不思議な気持ちになる。
この優しい雰囲気からなのか、それともこの人が持つ力なのか。
「・・・ありがとうございます」
両手を前に揃え、あたしは深々と頭を下げた。
不思議な魔法にでもかけられた、そんな気持ちだった。
全てが、幸せな方向に行く気がした――。
呟くように・・・自分に言い聞かせるようにポツリポツリと言葉を紡ぐ。
ウソはなかった。
初対面の雑貨屋の人間に聞かせるような話じゃないのに、なぜか言葉が止まらなかった。
あたしの言葉を、彼女は頷きながら静かに聞いていてくれた。
「いつか、あなたの願いが叶うように心を込めて・・・差し上げます」
「え?」
「お代はいりません」
「いえ、そんな訳には!!」
慌てて財布を探るあたしの手を、彼女はそっと制した。
「この子達をお金に買えるほうがバチが当たりそうな気がしてきました」
目じりの笑いジワを更にクシュッと縮ませて微笑む。
「離れ離れになっても、こうやって元に戻る事が出来た。それをアナタは大切にしてくれるのでしょう?自分と重ねるなら、いつか、アナタにも同じ時が来ますよ」
あたしは、彼女の目を見つめ不思議な気持ちになる。
この優しい雰囲気からなのか、それともこの人が持つ力なのか。
「・・・ありがとうございます」
両手を前に揃え、あたしは深々と頭を下げた。
不思議な魔法にでもかけられた、そんな気持ちだった。
全てが、幸せな方向に行く気がした――。