桜の咲くころ
「会えなくて、淋しくなかった?」

「・・・え?」

「全然会う時間ないし、電話もかけないし」

「・・・全然」

それどころじゃなかったし。

存在を忘れそうになるくらい、最近はシンの事ばかり頭にあったから。

「・・・好きな奴、出来たとか?」

「は・・・?何それぇ」

「いや、なんとなく」

「彼氏みたいな事言って!!」

「ミカコは、俺の事好きじゃなくなったのかと不安になってた」

「・・・は?」

この男は、こんな女々しい事言うような男だっただろうか、と思った。

もっと堂々としていて、かつ仕事人間で。

「一緒に県外来て欲しいって言ったら、付いてくる?」

・・・・・・何言って・・・。

「あ、プローポーズじゃないから、心配しないで」

そう言って、シンが差し出した2杯目のカクテルも一気に喉に流し込む。

「あたしは・・・仕事があるから無理だよ」

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