桜の咲くころ
「これ位の衝撃で、ふら付いてんじゃん。何が大丈夫だよ」

明らかに・・・怒った顔。

迷惑かけたくないって思って言ってるのに、何で怒られなきゃいけないの?

「一人で真っ直ぐ歩けないのに、何が大丈夫だよ」

「・・・平気だもん」

「また、さっきみたいに親父に絡まれても助けられねーぞっ?」

「・・・・・・」

シンには関係ないじゃん。

優しいからほっておけないだけで、別にあたしが親父に拉致られても関係ないでしょ?

別にいいよ。

もう、モモカの所に帰りなよ・・・。

「俺が・・・っ」

ふら付く足を必死に堪えて足元を睨みつけてると、視界が暗く遮られる。

「俺が・・・どんだけ心配したかっ。マジで、あの親父っ・・・」

耳元の胸に反響して届く言葉。

何で抱きしめるの?

どうしてそんな事するの?

こんな風に抱きしめられたら・・・もう堪えきれないよ・・・。

モモカに・・・。


「シン・・・悪いよ」

胸に顔を埋めたまま呟く。

「何が」

「モモカに・・・」

「は?」

「モモカが悲しむ・・・」
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