桜の咲くころ
カバッと、引き離される体。

真剣な顔であたしを見てる。

「お前・・・勘違いしてない?」

「・・・はい?」

「何であいつが悲しむんだよ」

「え?彼女でしょ・・・?」

「・・・はぁ?」

「付き合ってるんでしょ?」

「誰が言った?」

「シンが、前に、スーパーで」

「俺が?」

眉間にシワを寄せて、必死に記憶を引き戻そうとしてる。

「彼女、一緒に住んでるの?って聞いたら住んでないって言ったよ?さっきも、彼女に会ったよって言ったのに否定しなかったでしょ?」

隠さなくていいのに、と拗ねた表情を作る。

とりあえず、歩きながら話そうと、フラフラとあたしは先に歩き出した。

「ミカコさぁ・・・国語苦手だろぉ」

急いで追いかけてきたシンがガックリとうな垂れて言う。

「いや、普通だよ?どうして?」

「彼女ってのは、ガールフレンドの彼女じゃなくて、私・アナタ・彼・彼女みたいなもんで言ってると思ってたんだけど?」

「は?」

「初対面だから、この人は~じゃなくて彼女はって使ったのかと・・・思って・・・」

「何、それぇ~!!」
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