桜の咲くころ
シンの寝息を確認して、そっと腕の中から滑り出る。

バスタブにかけられたずぶ濡れのジーンズとTシャツを洗濯機に放り込み洗剤をいれる。

乾燥機の機能があって良かった、とボタンを押した。

あたしは煙草をカバンから取り出しベランダへ向かう。

まだ外は真っ暗で、夏の朝の訪れには遠い時間なのだとあたしに知らせた。

結局、シンはあたしの頼みを聞き入れて抱かなかった。

その代わり、ずっと抱きしめていてくれて。

その温かさに、少し安心する事が出来た。
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