桜の咲くころ
あたしの返答に、リカが驚いて目を丸くする。

「さぁ?って何!?」

「言葉の通りよ。知るわけないじゃん、あたしが」

「はぁぁぁあ?」

目を丸くした次に、今度は眉間にシワを寄せてあたしの方に向き直った。

「何、一緒に住んでて・・・何もないって事?」

大丈夫なの?

男として正常なの?

と、一気に畳み掛ける。

そんな興奮気味のリカの肩をまぁまぁ、と叩いて落ち着かせる。

「サトルの件が解決するまで、怖くてそんな気になれないよ」

そう、ただ抱き合うだけの眠り。

身体が繋がってなくても、指を絡めてるだけで充分だから・・・。

半ば、放心状態で正面を向いたリカは「まぁね、盛りがつく年齢でもないしね・・・でも拷問だろうね」とブツブツ呟いている。

その様子が可笑しくて、口に入れたばかりのポテトを噴出しそうになる。

親友っていいな・・・なんて思ったりして。

まるで学生の頃に戻ったかのように、二人ではしゃぎながら会話して美味しいパンを頬張った。

久しぶりに、まともに食事を取った気がする。

心から感謝だなぁと、秋風に揺れる栗色の髪を見て思った。
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