☆一番星☆
「でも笑顔になったのは、女の子だけじゃなくて。……俺、初めて見た。……あんなにやさしく笑う人。すっげぇ綺麗だって思った。それまで見てきた絢華とは、まるで別人で、……俺、一瞬で絢華のその表情に惹かれたんだ」



メチャクチャ泣いていた女の子が、アンパンマンの絆創膏を貼ったとたん、笑顔になって……


そんな女の子に、思わず笑みがこぼれたのを覚えている。



「それから、俺の片思いが始まったんだ。でも、あの日からはずっと、あの笑顔を見れる日は一度もやってこなくて。……やっぱり絢華はいつも悲しそうに笑っていた」



仕事をしていても……


家事していても……


何をしていても……


優太のことばかり考えていた。


いつも泣くばかりで、笑うなんてできなかった。


あの時のあたしには、笑うことは絶対に無理な難題だったんだ。


でも、蒼太と優華の前では、自然と笑えたんだ。
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