☆一番星☆
そういえば、隼人さんがまだいるんだった。


涙を拭いて、パパッと洗って浴室を出た。




部屋へ戻ると、隼人さんは一人でソファーに座っていた。




「隼人さん?」


「あ、絢華ちゃん。二人とも寝るのはえーな」


「はは、疲れてたんだね。隼人さん、ありがとう。ほんとにゆっくり入ってきちゃった」


「そっか、それは良かった」




隼人さんの方を見たりするんだけど、やっぱり直視できなくて……




「絢華ちゃん、泣いた?」


「……」




何も言えなくて、ただうつむいた。


そのあとは、あたしの応えを待つかのように、隼人さんは何もしゃべらないから……


この沈黙に耐えられなくなって、口を開いた。




「……優太がいるかと思った」


「あ、……これ?」




隼人さんは、着ている服をつまみながらポツリと呟く。
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