☆一番星☆
「うん」


「だから、思い出して泣いたのか?」


「……うん」


「一つ聞いていい?」


「何?」


「絢華ちゃん、指輪してないよな?ずっと気になっていたんだ。大切なものなのに、何でしてないんだろうって」


「……してるよ」


「えっ」




襟元から、ネックレスのチェーンを引っ張りだした。


それを隼人さんに見せる。




「それ」


「うん、もう優太とは一緒にいられないから、指輪だけでも一緒にって」




優太が普段から首に下げていた、このチェーン。


今はこれに、優太とあたしの結婚指輪をつけて、肌身離さず首に下げている。




初めて、このチェーンに指輪を通したときのことを思い出したら、涙が出てきた。


優太がこの世を去ったとき、手元にはこの指輪だけが残った。


このチェーンに、二つ並べて付けておけば、優太の傍にいられるような気がしたんだ。
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