今夜、俺のトナリで眠りなよ
「一樹君、私は平気だから」

「俺が平気じゃない。家でじっと桜子さんの帰りを待っているなんて嫌なんだ」

 一樹君が首筋にチュッとまたキスをする。

「あんな電話、もう二度と聞きたくない」

「あれは……特別よ。もう安易に実家に帰らないって決めたから」

 私は一樹君の手に触れた。

 私をわかってくれるのは、一樹君しかいないから。

「桜子さん、少し眠りなよ。俺、隣にいるから。大丈夫、何もしないから」

 私は「うん」と頷くと、ゆっくりと瞼を閉じた。

 起きたら、シャワー浴びて、お化粧しないと。

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