今夜、俺のトナリで眠りなよ
 やっぱり、離婚しなくちゃ。私、一樹君が好き。

 一樹君と一緒になりたい。だから優樹さんとしっかりと別れなくちゃ。


 私は、優樹さんが家に帰ってきたら、離婚してもらえるように説得しようと心に決めていた。

 けれども、優樹さんは全く家に寄り付かなくなってしまって。すっかり話す機会を失ってしまう。

 私が離婚するって言ってから、一度も家には帰って来ない。

 きっと私の気持ちが落ちつくのを待っているんだと思う。

 離婚を諦めますって一言、言えばきっと優樹さんが家に帰ってくる。

 でもそんなこと言いたくない。私の意思は固いんだと知ってもらいたい。

「ちょっと失礼するわよ」

 呼び鈴もなく、勝手にリビングのドアが開くと、お義母さんが入ってきた。

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