今夜、俺のトナリで眠りなよ
「一樹、離婚には貴方も一枚噛んでいるとか?」

「一樹君は関係ありません。これは私と優樹さんの問題ですから」

「あなただけの問題よ。離婚は有り得ないわ。一樹も、兄弟の足を引っ張らないで」

 お義母さんが立ち上がると、すたすたと部屋を出て行った。

 私はふうっと息を吐いた。

「お義母さんが来るなんて、驚いた」

「まわりから固める作戦にでたな」

「え?」

 私は一樹君に振り返った。

「兄貴だよ。最初は、愛人宅に引きこもって、桜子さんが折れるのを待った。でも、折れそうにないから、まわりを固め始めたんだ」

「離婚させないために?」

「そういうこと」

「私、離婚できないのかな」

 私は肩をがっくりと落とした。
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