今夜、俺のトナリで眠りなよ
「これで独身になっちゃった」

 私は空に向かって独り言を呟く。

「桜子」と呼ばれて、私は振り返った。

「お母さん、どうしたの?」

「家に電話があったの。一樹君が区役所に離婚届を出しに言ったって教えてくれたのよ」

「あ……そう」

 私は、一瞬にして心が重くなる。

 私と優樹さんの離婚、お父さんは納得してないんだよね。

 こんな滅多にない良縁を、自ら壊すなんて有り得ないって。

「一樹君、良い子ね」

「え?」

「離婚の理由をね。お父さんに説明しに来てくれたの」

「え?」
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