今夜、俺のトナリで眠りなよ
「お父さんに?」

「そ。俺が社会人になるまでは、桜子さんと一緒に住まない。結婚するまで、エッチは無し。それと……」

「それと?」

「週1回、お父さんの趣味に付き合うってさ」

「はあ? 趣味?」

「夢だったんだって。娘のオトコと、将棋したり、釣りしたり、ゴルフに行ったりするのが。それを叶えさせろって言われた」

「なに、それ」

 一樹君が「さあ」と笑った。

「私とのデートは?」

「するよ。でもお父さんとも俺はデートしないとだから。週末は大忙しだな」

 一樹君がくすくすと笑って、歩き出す。

 私はその横に並ぶと、一樹君の腕にからみつく。

 夢みたい。こういうの……やってみたかった。

 彼氏と腕を組んで歩くの。

 一樹君となら、もっともっと、私がやりたかった夢を叶えてくれるって気がする。

 一樹君が傍に居てくれる。それだけで私は幸せになれる。

 今度こそ。幸せな結婚をしたい。愛し、愛される家庭を気付きたい。

 一樹君と、一緒に幸せになるんだ。









『今夜、俺のトナリで眠りなよ』終わり
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