今夜、俺のトナリで眠りなよ
 洗濯物が干し終わって庭先から居間に戻ると、ソファに座っている一樹君と目が合った。

 一樹君は読書をしているようで、すぐに本に視線が戻る。

「大学には行かなくていいの?」

「ああ。成績重視の大学だから。テストと論文さえしっかりしてれば平気」

「そうなの?」

「ああ」

 一樹君がパタンと分厚い本を閉じると、私に視線を送ってきた。

「俺って不真面目に見える?」

「え? あ、うん」

「そ。なら、それでいいんだ」

「不真面目がいいわけ? 若い頃って、確かに不良とかに憧れるって聞くけど」

 一樹君が、『不良ね』と呟くと、クスクスと笑った。

「違うの?」

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