【短編】こんなものいらない
「お前は別れたいの?」
「わ…別れたくなんてないよ!絶対いや!」
あたしだって、できるなら別れたくない。
これから先ずっと一緒にいたいと思う。
だけど、
「だけど慶太、バイトだって言って夜は帰ってこないし、浮気してるのかなって思って」
一方的にあたしが好きでも、慶太があたしを好きじゃないなら、それは無意味なものだ。
「慶太が言いにくいだけなら、あたしから言った方が良いのかな…」
どんどん気持ちが墜ちる。
それと同じくらいあたしは俯いた。
好きで好きでしょうがないのはあたしだけ。
きっと慶太だってあたしからの別れを待ってる筈だ。
慶太は優しい。
だからあたしがフられないように、あたしが慶太をフるように、待ってるのかもしれない。