【短編】こんなものいらない
 
 
「お前は別れたいの?」

「わ…別れたくなんてないよ!絶対いや!」

 
あたしだって、できるなら別れたくない。

これから先ずっと一緒にいたいと思う。

 
だけど、

 
「だけど慶太、バイトだって言って夜は帰ってこないし、浮気してるのかなって思って」 
 
 

一方的にあたしが好きでも、慶太があたしを好きじゃないなら、それは無意味なものだ。

 
 
「慶太が言いにくいだけなら、あたしから言った方が良いのかな…」

 
 
どんどん気持ちが墜ちる。

それと同じくらいあたしは俯いた。 
 
 
好きで好きでしょうがないのはあたしだけ。


きっと慶太だってあたしからの別れを待ってる筈だ。

慶太は優しい。

だからあたしがフられないように、あたしが慶太をフるように、待ってるのかもしれない。
< 10 / 31 >

この作品をシェア

pagetop