【短編】こんなものいらない
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「今日ありがとなー」
「いえー。じゃあまた」
用事を済ませたのは、7時頃だった。
予想外に遅くなってしまったけれど、慶太は夜からのバイトらしいし、丁度良いと思った。
そのまま直行しようと、ファミレスのある駅までの切符を買う。
電車に揺られながら窓の外を見て、真っ暗だ、と思った。
それから約20分後、目的地に着く。
いつも4人で来ていたファミレス。
しばらくここには来ていない。
いつ頃からだったかは覚えていないけれど。
あたしはこっそりとガラス張りの窓から店内の様子を覗いた。
なんだか変な人だな自分と思いながら。
けれど慶太らしい人は見つけられなくて、仕方なくファミレスのドアを引いた。