【短編】こんなものいらない
それが、1年生、お互い19の頃。
付き合い始めて1年で慶太に
「俺はお前との将来考えてる。だから一緒に暮らそう?」
そう言われた。
あたしの両親は反対したけれど、慶太は毎日うちにきて説得してくれた。
それからあたしに両親の方が折れて、あれよあれよと言ううちに同棲。
最初の頃はやっぱり期待感が大きくて、浮かれた。
慶太も嬉しそうで、2人して不動産めぐりをした。
家具選びのときも、こんなに大きいダブルベット部屋に入らないよ、というのを無理して買った。
「新婚みたいでドキドキするね」
あたしがそう言うと、慶太は顔を赤くして笑った。
それはもう、1年前の話。