【短編】こんなものいらない
ずいぶん前からって訳じゃないけれど、ほんの数日前からって訳でもない。
心臓が重くなったみたいに息苦しくなった。
このまま、だめになるのかもしれない。
あたしと慶太は、修復できない所まで来ているのかもしれない。
泣きたくなった。
鼻がつんとした。
だって、あたしはまだこんなに慶太が好きだから。
だって、あまりにも何も変わらないから。
あたしと慶太以外は何も変わらない毎日で、それが余計に涙をそそった。
だけど泣くのは卑怯で、正面からぶつかっていないあたしには卑怯なモノで。
ぐっと堪えてから、着替えるために寝室へ向かった。