【短編】こんなものいらない
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大学は家から近くて、駅で1つ。
少し早めに着いたあたしは、朝ご飯でも食べようと考えていた。
キャンパスの中を歩いていると、ポンと肩を叩かれ、後ろから声がした。
「おはよー」
「おはようさん」
振り向くと、そこに立っていたのは友達の由美と、その彼氏の仁だった。
「あ、おはよう」
会話をしながら3人並列に並んで歩く。
由美と仁は高校時代から付き合っていて、それでいて未だに仲がいい。
ここに入学したときも、この2人に声をかけられて仲良くなった。
それから一緒に入ったサークルに慶太が居て、由美と仁の紹介で知り合った。
「慶太は?一緒じゃないの?」
「あー…」
そういえば、慶太との関係に付いては誰にもいっていなかった。
1人で抱えていた気がする。