欲しいのはただ、愛おしい妹だけ
こ の場所から…
俺達は今、福島県のとある岬に来ている
その下は海
高さは約25メートルある
冬休み真っ只中の早朝
俺達以外に、誰もいない
まだ日の昇りきれていない空
雪がパラつく銀世界
波が岩にぶつかる音
潮の匂い
その全てが、俺達の望んでいた光景
だけど吐く息すべてが白いから、ちょっぴり切なくもなってくる
「──…やっと付いたね、兄ちゃん……」
「……ああ、やっと───…」
寒くて冷たくなっているけれど、強くしっかりと握られた俺達の手
彼女の小さな手が、少しだけ震えているのが分かる
「──…大丈夫か?」
「……うん、大丈夫だよ…。」
彼女は優しく、笑って答えた
「…じゃあ、行こうか…っ」
俺はその小さな手をさらに強く握り、岬の先端を目指して
彼女と供に歩きだす
ここで終わるのか、始まるのか
俺達の行く先を知る者は、この世でたった1人しかいない
この岬の先に、本当の幸せがある
その幸せを信じて、俺達は一歩ずつ、歩きだす
これは禁断の欲に染まった、俺達の恋物語です───…。