欲しいのはただ、愛おしい妹だけ
聖愛の構えるデジカメの先には、俺達3人
その後ろには『入学式』と大きな看板が立ててある
「じゃあタイマーするよー」
デジカメの所で大きな声を出す聖愛は、ボタンを押した後に俺達の所まで走って来た
「ちょっ、押さないでよ、聖愛ってばっ!!」
そして何故か、俺の隣に居た桜良を押し退け
聖愛は俺達の間に割り込んできた
そしてまた、半強引に俺の腕へと絡み付く
ドキン…っと、さっきよりも遥かに大きく強く、高鳴る俺の胸
世界が止まったかの様な感覚に陥ってしまう、俺の思考
「はいポーズっ」
聖愛の言葉が終わると同時に、パシャリと光るデジカメのフラッシュ
撮影が終わると聖愛はすぐに、俺の腕から離れていってしまったけれど
俺の腕に残る聖愛の体温
小さくて、柔らかな手
暖かさ
その全ての感触が、俺の腕には残ってて
俺を──…さらに、狂わせる