欲しいのはただ、愛おしい妹だけ
蒼良が聖愛に恋心を抱いている事は、ずいぶん前から知ってたんだ
優しい風がふわりと吹いて、色素の薄い蒼良の髪と
ピンク色に染まった桜の花びらが、ひらりと舞う
そんな蒼良を見ていると、いつも、胸が引き裂かれる思いで潰されそうになってしまう
彼には無限の可能性がある
だけど俺には……ない。
兄妹は、どこまでいっても兄妹だ
決して、思いを寄せてはいけないし、結ばれてもいけない
この桜の花びらの様に、ただただ、散るだけ
散るだけでも、俺の気持ちは膨らんでいく
胸の中で、限界以上に膨らんでいく
俺は、この抑えきれない聖愛への想いを
大きな声で叫びたい
叫んでみたい
『俺は、聖愛が好きなんだ』
声にはならない、胸の奥深くで
大きく大きく、叫びたい──…
『欲しいのはただ、愛おしい妹だけなんです』