今までの自分にサヨナラを
お母さんが驚いたように私を見つめる。
お母さんが心配してるのは知ってるけど、それ以上に行ってみたいって思った。
だって、車椅子という私の足で、まだ自分の街を歩いたことがないんだよ。
玄関戸のガラスから差し込む外の光は、本当にキラキラと眩しくて私はそれを見つめていた。
「平気だよ。車椅子は電動だし、近所だけだから」
自分でもお母さんにこんなこと訴えかけてる自分にびっくりしてる。
けど、行ってみたいって思えたの――。
「わかったわ――」
お母さんは同意してくれると、私にショートブーツを履かせて見送ってくれた。