今までの自分にサヨナラを
近所なのに、こんなに新鮮に見えるのはなぜだろう。
私は、初めて電動車椅子という名の私の足で近所を歩いていた。
車から何度も見て見飽きてたはずなのに、全てが違って見える。
アスファルトの上を走る普段とは異なる車椅子の走行音。
空き地に生い茂った揺れる雑草。
水色の空に線を描くような高い高い電線。
音も風景も当たり前のものが目線が変わっただけで、こんなにも鮮やかな色を放つ。
春風はまだちょっぴり冷たいけれど私の頬を優しく撫でて、肺は新しい春風で満たされた。
こんな些細な変化で、世界がこんなにも変わるなんて思わなかった。