今までの自分にサヨナラを
微かにあの日々に重なった――。
あんな風に駆け回れはしなかったけれど、戸惑いの中で二人と遊んだ時間は普通の子供みたいだったから。
「――あなたの絵よ。見た瞬間思い出した」
自分でも素直すぎるほど自然に紡げた言葉。
あの日々は嫌いじゃないから――。
「……えっ」
彼はぽかんとして気の抜けた声を出したかと思えば、見る間に表情を変えていく。
「すげぇ、嬉しい――!持っててくれたんだ。ありがとう!」
何なのだろう……。
彼は子供のように屈託なく笑う。
たかが、一枚の絵のことなのにここまで喜ぶなんて……。