今までの自分にサヨナラを


すると、彼の目が大きく見開かれる。


「ごめん――!!」


焦った声が響き渡って、体を支えていてくれた腕が急にはなされた。


その反動で私の体は前のめりに大きくバランスを崩して、自由のきかない体は姿勢も元に戻せない。


私は思わずぎゅっと目を閉じた――。


「大丈夫!?」


でも、私の体の傾きはぴたっと止まってゆっくり起こされる。


肩には抱き寄せるようにきつく腕が回って、ちょっと上を向けば心配そうなハの字の眉をした彼の顔。


「本当にごめん……」


申し訳なさそうに謝る彼の声のトーンは、いつもより格段に落ちていた。


私はそんな彼を見て、つい小さく笑う。



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