今までの自分にサヨナラを
私はゆらゆらとした湯気に息を吹きかけて、その姿を消させる。
たぶん、麻痺してたんだ。
彼の家族はあたたかすぎた。
お父さんも、お母さんも、のんちゃんも。
優しさに偽りはなくて、何より普通に接してくれた。
だから、忘れそうになっていたのかもしれない。
彼の男友達の言葉は、真実を間違いなくとらえてる。
そう、痛いほど、見たままの現実を。
所詮、私は“車椅子の子、養護学校の子”なんだ。
こんな当たり前のことを忘れかけるなんて、どうかしてる。
早く思い出させてもらえて、よかったんだ……。
まだ引き返せるうちで。