今までの自分にサヨナラを
全部、彼のせいだ……。
私が見てきた世界が“現”ならば、彼に魅せられた世界は“夢”。
夢、なんて私の世界にはいらない。
絶望するだけなら、夢なんてほしくもない。
……だから、私の世界を乱さないでよ……。
その刹那、少しキンキンとした電子的なメロディが鳴りだした。
私がよく聞くバンドのバラード曲。
メールの着信音だ。
ペンケースの隣に置いたピンクのケータイがチカチカ光る。
渋々ペンを休めてケータイを開けば、思わず目を瞑りたくなるような名前があった。