今までの自分にサヨナラを
―――――――
――――
枕の横に手の平サイズの暗記カードが落ちる。
天井は冷たく白く反射し、しんと静まり返った部屋にはカード同士がばらりとかさる音が妙に響いた。
自由のきかない体はベッドに重く沈み、私は仰向けで煌々と部屋を照らすあたたかみなど欠片もない光をじっと見つめる。
初めて見たなっちの姿が、鮮明に焼き付いて離れない。
私は知らなかった――。
可愛くて純粋で、捻曲がった私とは正反対の子。
いつもにこにこと朗らかに笑うなっちしか、知らなかったの……。
あんなに笑顔を失うこと、あんなにも壊れそうな瞳をすることを。